2017/08/01
今日も、素敵な文章に出会う。子午線の祈り 木下順一の文章だ。
満天の星。ゆっくり、読んでみよう。「晴れた夜空をみあげると、無数の星々をちりばめた真っ暗な天球が、あなたを中心に広々とドームのようにひろがっている。ドームのような天球の半径は、無限に大きく、あなたに見えるどの星までの距離よりも天球の半径は大きい。地球の中心から延びる一本の直線が、地表の一点に立って空を見上げるあなたの足の裏から頭へ突き抜けてどこまでもどこまでも延びて行き、無限のかなたで、天球を貫く、天の頂き、天頂。」今号をもって発行終了となる、「そよ風のように街に出よう」の中に「終われない、終わらない」ペンネーム・聞き耳ずきんby・nekoさんの文章も素敵だったので、載せてみよう。
どんな時代に生きて来た名もない人たちも、泣き笑い、怒り苦しみ、誰かを愛し、子を産み育て、人とつながり、傷つけあって、赦しあって、自らの命を全うしてきたのだろう。理不尽な制度や人がつくり出す見えない壁に立ち向かい、思いや気持ちを言葉や歌に変え、あるいは心に響かせ、生きて来たのだろう。わずかな水滴でも岩を穿つ。何もなかったかのように見える大地にも雨は降り、日は降り注ぐ。植物は大地から芽を出す。どんな場所でも、置かれた場所で精いっぱい生きている。長い長い歴史の中で、一人の命は瞬きの如くであっても、命の意味がある。人生の秋、これから迎える冬を精一杯駆けていくための勇気をもう一度奮い立たせよう。幸いに、今まで作ったつながりから、言葉を紡いでいけるに違いない。まだ終われない、終わらない物語は続くのだ。
素敵でしょ。