2016/03/30
島根県立江津清和養護学校から、学校だよりが届きました。その中の高等部卒業生の福庭千穂さんの卒業に寄せての記事には感動です。皆さまにも紹介したい。サブタイトルはゆっくり歩きだす~亀の心~だった。『私は、この清和養護学校に編入して、良かった。笑って過ごせる時間ができるようになって、本当に感謝している。 はじめは、「こんなはずではなかった」そう感じる日々だった。こんな体になってしまった自分自身を責める日々だった。お先真っ黒というやつで、動かずに泣いていた。もう誰にも必要とされないだろう、と思っていた。しかし、その場に永遠に立ち止まることはなかった。手を差し伸べてくれる人がいた。私を必要だと言ってくれる人がいた。 この学校にきて、私は思いきり変わったと思う。いや、変わったと断言できる。 私の表情が、心が変わる瞬間を見た。 人の目を気にして、人前に出ることを嫌がっていた私は二年半の歳月で、人前で喋れるようになった。ついには、小さい事ではあるが、児童生徒会長という役割を果たすことができた。同級生や下級生たちとコミュニケーションが巧くとれるようになった。周りを見て、自分から行動できる人間になったと思う。 もちろん、高校生活の中では何度も立ち止まり、泣いたこともあった。例を挙げると、期末考査の時や、学校行事の時のことである。その時は家族や先生、そして同級生が、私が立ち上がるのを待って居てくれた。「がんばれ」ではなく、「学校で待って居るよ」と言ってくれた。立ち止まっても、また歩くことが大切だということを教えてもらった。まるで、亀のようだった。亀は立ち止まっても、後ろは向かない。止まっても、前だけを見て、またゆっくりと歩きだす生きものだ。 私は間違いなく成長したと思っている。 私を変えたのは、私自身の力だけではない。この江津清和養護学校で出会ってきた人たちが、今の私をつくってくれた。そして、新しい道を築いてくれた。 これからもきっと、道なき道を歩まなければならない時が来るだろう。そんな時でも、「亀の心」を忘れずに、一歩ずつ、ゆっくりでもいい。ちゃんと道を切り開いていこうと思う。 この二年半の間、私を立派な亀にしてくれて、ありがとう。私は心からそう思っている。』 高等部卒業だから18歳の思春期真っ只中の子ども達である。うわあ!凄いなぁと、感動ものです。こんなはずではなかった。と、障がいを受容することは、本当に大変な事だっただろうに。そして、大きな価値の転換を見い出し、新しい自分に変換出来ていくことは、素晴らしい、それも「亀の心」に例えながら、そして、間違いなく成長した喜びを、大いに感謝している姿は、ただただ、驚きと感動を生む。本当に、一人一人が、自分の人生を、しっかり生きていく姿勢は、生をこの世に授かったものの永遠のテーマかもしれない。