日本人の四季を愛でる感覚は、古代から続いています。

2021/04/12

日本人は、春夏秋冬をいつも心に刻みながら生きています。冬来たりなば春遠からじと謳い。春が来たならば、春が来た、春が来たと、歌い。桜が咲いたならば、「さくら さくら やよいの空に 見わたす限り 霞かくもか 匂いぞいずる いざやいざや 見にゆかん (幕末の頃、江戸で子供用の筆の手ほどき曲として作られた歌詞でした。)そして、菜の花畑が、ちょうど今、満開で広がっています。私は、いつも、春になると、素敵な風景にうっとりします。忘れもしない、静岡から見延線に乗って、甲府に出かけたことが有りました。春の事です。富士山が広がり、桜が咲き、菜の花畑が続き、そして、鯉のぼりが泳いでいる風景を見たことがありました。もう。それはそれは、感激して、忘れられない風景が脳裏に焼き付いています。そして、歌が、出てくるのです。

「菜の花畠に 入り日薄れ 見わたす山の端(は) かすみふかし 春風そよふく 空を見れば 夕月 かかりて においあわし 」

そして、この春を迎えると、竹の子が出てきます。そして、木の芽が出てきます。この季節には、必ず、私は、木の芽和えをします。

我が家にも、山椒の木に新芽が出てきました。それを摘んできました。我が家には、いつも、竹の子がわんさか採れていましたが、今は、イノシシさんに先に盗られてしまい、一本もありません。つい先日、お里から竹の子を頂いていましたので、ぬかを入れて、ゆがいていました。孫が、「おばあちゃん。僕も手伝うよ」と、張り切っています。よしよしと、すり鉢をだして、山椒の擦り棒で、山椒を潰します。孫は叩くばかりですので、この私が、お手本を見せます。すると、「おばあちゃん。上手だねぇ。」と。そして、お味噌を入れて、お砂糖を入れて、そしてお酢を入れます。それを混ぜて、山椒の酢味噌が出来ました。竹の子の先っぽの柔らかいところを刻みます。それは、孫がしましたが、手つきがとても上手です。(孫は、まだ小さい頃、私の台所へ来ては、わるさをしていました。だから子供用の包丁も用意していましたね。大きくなりましたから、今は、とても上手になりましたね。)そして、それを絞って、酢味噌を掛けます。それを、器に盛って出来上がりです。 ここで、婆ちゃんの講釈が入ります。「日本人はね。春には春の旬を食べのんだよ。春には竹の子さんがニョキニョキ出るだろう。山椒の新芽を摘んできて、こうして木の芽和えを食べるんだよ。竹の子さんも煮しめにしたり、竹の子ご飯にしたり、竹の子入りの味噌汁したりね。旬の物を食べると、長生きするんだよ。」

「ふぅ~ん。」 私も大きいおばあちゃんを思い出しましたね。「まぁ。初物を食べると長生きするねぇ。めんたしめんたし。」と、言って居ましたね。