高村光太郎「冬が来た」詩集『道程』より

2022/11/10

冬が来た      (大正2年12月5日作) 1883年(明治16年)~1956年(昭和31年)東京生まれ

きっぱりと冬が来た

八つ手の白い花も消え           八つ手は、初冬に白い小花を球状に咲かせる花。

公孫樹(いてふ)の木も箒(ほうき)になった。  「公孫樹(いてふ)」イチョウのこと。

きりきりともみ込むような冬が来た

人にいやがられる冬

草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た

冬よ

僕に来い、僕に来い

僕の冬の力、冬は僕の餌食だ

しみ透れ、つきぬけ

火事を出せ、雪で埋めろ

刃物のやうな冬が来た

絵画のような足し算の芸術とは違い、彫刻は引き算の芸術です。引き算した後の答えに、作品の命がありありと見える。

高村光太郎は昭和20年11月17日から、岩手県の宮沢賢治の実家を頼って疎開し花巻に住みました。