昨日は、「日本晴れ」でしたが、今朝は時雨ています。

2019/11/11

女心と、秋の空かな?それとも男心と、秋の空かな? 心は千々に乱れますね。ロマンティックになったり、センチメンタルになったりと、せわしいことです。映画『閉鎖病棟~それぞれの朝~」2019年11月1日公開です。帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)の著書で、精神科医を務めながらの人間ドラマです。帚木蓬生という名前に妙にひっかかった。この名はペンネームだと言う。源氏物語の「帚木」の巻と、「蓬生」の巻から、ペンネームにしたと言う。本名は、森山成彬(もりやまなりあきら)と、何故か親近感がわいた。

また、インタビューの中に、面白い記事を見つけた。イギリスに留学されたことがあるらしく、イギリスの精神科医から、「医者が処方できる最良の薬は、その人の人格である」という言葉に深く共感したという。私は、成程なぁ。と、妙に納得した。というのは、以前に、「医者は「病」を診て、人を診ず。」なんて、言っていたことがあった。江戸時代の『赤ひげ』先生の、「医は任術」などとも言って、私は喜んで観ていた。そうか、ここでつながりました。帚木蓬生氏は、この「閉鎖病棟」で、山本周五郎賞を受賞しておられる。「赤ひげ」の原作は、山本周五郎の『赤ひげ診療譚』新潮社からである。いやはや、面白きかなです。時代劇が好きなせいか、「日本婦道記」も、私の愛読書ですが、女性の健気な生き方には、感動ものです。「樅ノ木は残った」も、江戸時代前期の仙台藩伊達家で起こったお家騒動も面白かったですね。

この帚木さんは、八幡厚生病院時代に、多くの精神科医が治療対象として扱わないギャンブル依存症の治療に尽力し、自助グループを設け、「気づき」を通して治療の動機づけを助けてきました。しかし、1998年に急性骨髄性白血病を発症されます。帚木さんは、自ら病気となって、「気づき」の会合の最後に唱和する、「平安の祈り」の意味をかみしめているようになりました。

【自分に変えられないものを、受け入れる落ち着きを。変えられるものを変えていく勇気を。そして、二つのものを見分ける勇気を】

その後、病院を退職して、福岡県中間市で「通谷メンタルクリニック」を開業しておられます。各地の講演会にも行かれ、「どんな徳目のある人でも、ギャンブルをやっていると人間性を失っていくわけです。どんな人間でも、思いやり、寛容、正直、謙虚を失います。」と、今、カジノが一部で叫ばれていますが、これについても帚木さんは、強く警鐘を鳴らしておはられます。

「平安の祈り」アメリカの神学者ラインホルド・ニーバーの言葉

神さま、私にお与えください

自分に変えられないものを

受け入れる落ち着きを!

変えられるものは、

変えていく勇気を!

そして二つのものを

見分ける賢さを !

あぁ。その昔、私が病院に勤めていた頃に、アルコール依存症の方たちと、12の段階を踏んで、この言葉を唱和していたことを思い出しました。そうだったなぁ。「気づき」は、いかに大切か。そして、「なにもしなければ、なにもうまれない」にたどり着いた。